医療費の滞納事例
入院治療費の滞納事例が近年増加しています。
同じ滞納事例でも,家賃などの賃料の場合は,賃貸借契約を解除して借主に明渡しを求めることができるため,新たな滞納額の発生を防止することが出来ます。
しかしながら,治療費の滞納の場合,医師は正当な事由がなければ診察治療を拒んではならない(医師法19条)とされているため,その未払いを理由として,病院からの退去を求めることはできません(治療費の未払いは診察治療を拒む正当事由には当たらないと考えられています)。病院としては,日々新たな治療費が発生することを避けられず,非常に悩ましい問題です。
このような問題をご相談頂いた場合,まず,弁護士名での督促を行います。これだけで相手方の対応がガラッと変わる事例も多いです。
それでも支払いを得られない場合,支払督促や訴訟提起などの法的手続を検討することになります。どのような手続を採るかは,滞納額の多寡,予想される相手方の対応(単に支払能力が無いだけなのか,支払いを拒絶する言い分があるのか等)などを勘案して選択します。支払督促や判決を取得すると,相手方の財産に対する強制執行が可能となります。また,訴訟手続において,分割払い等の和解をすることも一つの解決方法です。和解の場合,相手方の任意の支払いが期待できますし,仮に支払いを怠るような事態になったとしても,裁判上の和解であれば,判決と同じように強制執行を行うことが可能になります。
いずれにしても,この種の問題は放っておくと滞納額が増える一方です。滞納が始まりましたら,早めにご相談頂くことが肝要です。
また,入院している患者には稼働能力が無く,支払いを期待できないことが一般的です。入院時には,支払能力がある連帯保証人を必ずつけるべきです。その際に勤務先などの情報も確認できていれば,判決取得後,給与債権に強制執行を行うことも可能となります。
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