公正証書と即決和解
お金の貸し借りや損害賠償の示談を行った際に、「公正証書」を作成すると良いとよく言われます。それは、当事者同士で作成するよりも高い信用性を有していることと、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは直ちに「債務名義」となり、強制執行が可能となるからです(民事執行法22条5号)。
この公正証書というものは、公証役場において、公証人が作成する書類です。
では、大家さんが家賃を滞納している借り主と話をして、2ヶ月以内に出ていくということになった場合、その約束を「公正証書」にしておけばいいのでしょうか。
この場合、公正証書では借り主を強制的に追い出すことはできません。公正証書は、金銭の一定額の支払を内容にする場合にしか強制執行することができないからです。
強制的に借り主を追い出したい場合は、「即決和解(起訴前和解)」という手続が多く使われます。この手続では、裁判上で「和解調書」が作成され、相手方が約束を破った場合は、この「和解調書」に基づいて強制執行することができるのです。
「即決和解(起訴前和解)」は、簡易裁判所に対して申し立てることになります。
公正証書の作り方
では、公正証書を作りたい場合には、どうすればよいのでしょうか。
まず、公正証書にしてもらう文書の内容を、当事者間であらかじめ決めておく必要があります。遺言、お金の貸し借り、あるいは売買の際に公正証書を作るのであれば、その契約条項を当事者間で作っておきましょう。
また、公正証書を作ってもらうためには、公証役場に本人が出向く方法と、代理人に行ってもらう方法があります。いずれも、本人・代理人であることを証明する書類(印鑑登録証明書と実印、委任状など)が必要となります。
以上の必要書類をそろえて、最寄りの公証役場に連絡をした上で、作成手続を行ってください。
なお、公正証書を作成するに当たっては、遺言など形式を備えることも必要となりますし、また、法律上の知識が必要となる場合もありますので、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。
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