不動産法務

賃料を滞納している賃借人に早期に退去してもらった事例

事案

 賃料3か月分を滞納している賃借人との賃貸借契約を解除して、賃貸物件の明渡しを求めるとともに、未払い賃料の支払いを求めて訴訟を提起したという事案です。

コメント

 賃料を滞納している賃借人に部屋を明渡してもらう場合、(1)内容証明郵便で未払い賃料の支払いを催告し、(2)支払いがない場合には賃貸借契約解除と立ち退きを求め、(3)応じない場合には建物明渡訴訟を提起し、(4)建物明渡しの強制執行を行う、という流れをとるのが通常です。しかし、たた漫然と上記の流れで対応をとっていては、費用と時間を浪費することになりかねません。
 賃借人の態度、支払いの可能性、立退きについての交渉の余地、保証人の有無など、具体的な状況に応じて、最も適した方法が何かを判断して手続を進めることが重要です。
 本件では、賃貸人と管理会社である不動産業者の話を聞く限り、賃借人は交渉に応じる可能性が少なく、既に賃貸人と賃借人の信頼関係も決定的に破壊されているとのことでしたので、上記(1)、(2)の手続を短縮し、早期に(3)の手続に入りました。すると、裁判所からの勧告もあり、(4)の手続に入ることなく、相談からわずか1か月余りで明渡しを受けることができました。なお、本件では、別途保証人から未払賃料全額の回収をすることもできました。
 本件とは逆に、裁判前の交渉の余地がある場合には、(3)の手続をとるより、(1)とその後の交渉によって任意に明渡しを受けた方が迅速な解決ができる場合があります。その方が費用も圧倒的に少なくて済みます。
 このように、賃料滞納による建物明渡請求といっても、事案によって解決方法は様々です。弊事務所では、できる限り迅速で費用のかからない方法を考えて手続をとることを心がけています。

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