刑事事件

リャクシキ?ソッケツ?

しばしば刑事手続において出てくる「リャクシキ」とは略式手続のことをさします。また、これから耳にすることになるだろう「ソッケツ」とは即決裁判手続のことをいいます。いずれも、刑事手続において、公訴提起の段階において、検察官が請求することができる簡易な手続です。逮捕・勾留された被疑者にとってみれば、正式起訴されるよりも、早期に刑事手続が終了して、身体拘束が解かれることになります。

略式手続は、簡易裁判所によって、法廷を開かない書面審理で行われ、検察官が提出した証拠を裁判官が検討して、相当と認めた場合に、略式命令を出すことになります。略式命令で科すことのできる刑罰は、100万円以下の罰金または科料に限られます(平成18年4月までは、略式命令で科すことのできる罰金の上限が50万円でした)。もっとも、略式手続を行うことには、被疑者の異議がないことが必要です。また、略式命令に不服がある当事者(検察官及び被告人)は、一定期間内に正式裁判の申立てをすることができます。

現在の刑事手続では、被疑者が勾留されている場合、検察官が勾留満期日に略式手続を請求して、即日、簡易裁判所から略式命令が発せれ、被疑者の身体拘束が解かれる運用となっています。

即決裁判手続では、争いのない軽微な事件について、簡易・迅速に裁判が行われることになり、1回の裁判で審理が終了して、できる限りそのまま判決が宣告されることになります。この手続によって科される刑は、罰金・科料だけでなく、懲役または禁固も可能ですが、懲役刑や禁固刑には執行猶予が必ずつくことになります。もっとも、即決裁判手続を請求するには、被疑者の同意が必要となり、弁護人が選任されていることも必要です(弁護人が選任されていなければ、裁判所が国選弁護人を選任することになります)。即決裁判手続によって下された判決に対して、被告人が控訴できない場合があるので、この手続に同意する場合には注意が必要です。

現在の刑事裁判手続では、起訴されて第1回の裁判が行われるまで、通常1ヶ月から2ヶ月ほどかかっていますが、即決裁判手続が利用される場合は、通常起訴されてから2週間ほどで裁判が開かれます。この手続によっても、通常の手続によるよりも、早期に身体拘束が解かれることになります。

戻る

当事務所へのお問い合わせ

03-3343-6088

東京都新宿西新宿6-12-6 コアロード西新宿203号