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刑事事件
強盗致傷等による裁判員裁判の事例
【事案】
被告人が,女性に包丁を突きつけ全裸にさせるなどして,金銭を要求し,包丁で全治約3日間の怪我を負わせたところ,さらに別の女性が現場に現れ,この女性にも包丁を突きつけて金銭を要求し,包丁で全治約10日間の怪我を負わせたという強盗強姦未遂,強盗致傷等の事案です。被告人は,犯行前に飲酒していたほか,抗不安薬を服薬しており,本件犯行を一切記憶していませんでした。
平成21年5月21日より,死刑・無期懲役に当たる罪に関する事件は裁判員裁判対象事件となりました。本件のうち,強盗致傷罪は無期懲役が法定刑に定められているため,本件も裁判員裁判により公判が行われました。

【争点】
争点は,被告人に完全責任能力が認められるか否かでした。弁護人が,犯行前の飲酒と抗不安薬の服用の影響により,被告人は心神喪失又は心神耗弱の状態であったと主張したのに対し,検察官は,飲酒と服薬が被告人の判断や行動に重大な影響を与えたとは言えず,完全責任能力の状態であったと主張しました。心神喪失であれば無罪,心神耗弱であれば刑が減軽されることになります。
なお,被告人には性犯罪の同種前科が複数ありますが,前々刑の判決において,精神安定剤とアルコールの併用により心神耗弱であったと認定されていました。

【判決及び判決に至る経過】
裁判員裁判においては,裁判員を含めた公判が行われる前に,裁判官,検察官,弁護人の三者で争点を整理するための手続(公判前整理手続といいます)が行われますが,弁護人として最も注力したのが精神鑑定の実施に向けた活動です。検察官は,被害者の供述や防犯ビデオから明らかになる被告人の挙動に照らし,被告人に正常な判断能力があったのは明らかだとして,精神鑑定の実施に反対しましたが,裁判所は,一般市民の裁判員が判断するための材料として精神鑑定は必要であろうとの見解を示し,精神鑑定を採用しました。
鑑定の結果は,飲酒の影響は一般的なアルコールの薬理効果(判断力が少しにぶる,抑制が取れる,気が大きくなるなど)にとどまる,服薬の影響も飲酒の影響を増強したに過ぎないなどとするもので,弁護人の主張を裏付けるものではありませんでした。もっとも,鑑定人も精神疾患と飲酒・服薬の影響があること自体は認めていましたし,鑑定人の見解では説明しきれない不可解な言動が被告人には認められました。
そこで,公判においては,鑑定結果を一定範囲で尊重しつつも,やはり被告人に正常な判断能力があったとは断定しきれないと弁護人の意見を述べました。
結論として,裁判所は,鑑定内容を全面的に信用した上で,完全責任能力を認め,被告人に有罪判決を言い渡しました。
しかしながら,本件は,従来の裁判官のみの裁判であれば,精神鑑定すら行われずに判決が言い渡されていた可能性が高い事案です。公判において鑑定人の見解がわかりやすく説明され,かつ,一般市民にその見解を踏まえて刑事責任を問えるか判断をしてもらえたというのは,被告人の理解,納得という点からも大きかったように思います。

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